昨日「君の名は。」見てきました.

新海誠だけあって作画は超一流でした.
冒頭から引き込まれる作画からのカメラが下からぐいっとパンしてタイトルロゴがドーーーンまでの入りが素晴らしくて感動した.
特に,人物をCGで動かしているのには気づきにくかったし,不気味の谷を超えたんじゃないかと思いました.
あと,祠(洞窟内)の回想シーンはマッドハウス担当かな. 爆発は多分スタジオカラーな気がした(適当.

新海の作画が凄いのはいつもどおりだからこの辺にしておいて考察に入りたいと思う.






<考察>


「君の名は。」は思うに,現実ー架空(夢)/瀧ー三葉/過去ー現在/都会ー田舎などといった対比構造と,対になる要素をつなぐ「組紐」というトリックスターアイテムから構成される,と考えた.

トリックスター(trickster)

 詐欺(さぎ)師。ぺてん師。
  神話や民間伝承に現れるいたずら者。秩序の破壊者でありながら一方で創造者であり、善と悪など矛盾した性格の持ち主で、対立した二項の仲介・媒介者の役目を果たす。

出典:デジタル大辞泉 


以下箇条書きながらポイントごとに考察した.


○大前提:三葉と瀧の入れ替わりは実際に起こっていた.


三葉が東京の瀧に会いに行って渡した組紐は,ラスト「彼は誰時」に3年後の瀧から3年前の三葉に""手渡し""で返された
更に劇中で組紐,時を繋ぐもの,人をつなぐものと一葉(おばあちゃん)は言っている.
つまり,時間を司る組紐は「君の名は。」世界が「入れ替わりは不可解なものではない」世界であると承認する役割も持っている.


※瀧と三葉の二重人格説も考えてはみたものの,組紐の実物が手渡されている時点でこの仮説は成り立たない.
※※実は最初から最後まで夢世界の物語で入れ替わりはおろか,瀧が糸守に行ってすらいないという仮説もあるが,そうであるなら組紐が登場した意味が無い.


・御神体のある場所の意味(三途の川)
一葉のセリフで川の向こうは幽世(=かくりよ,あの世)だというセリフがあったが,この世とあの世,つまり現実と架空,入れ替わった瀧と三葉と元の体にいる三葉と瀧の対比なんじゃないかと
更に幽世とは諸行無常の人の住まう現世(うつつよ)に対して,永久不変の神の世界を意味する
三葉は神職(巫女)であるので,自分の片割れ(彼は誰)として口噛み酒を作り,御神体に供えた.
しかし,実際に供えに行ったのは瀧であり,口噛み酒を供えるまでの手間という意味で言えば,瀧と三葉で半分ずつだったために,自分の大切なもの,記憶であったり,それこそ入れ替わりの片割れを失ってしまう.


片割れの描写は口噛み酒や三葉-瀧の関係以外にも彗星コアの分裂としても描かれる.分裂した彗星の片割れは糸守に墜落して""消えてしまう""のである.
更に1200年前にも糸守に彗星が分裂して落下して糸守の街にクレーター(御神体)を作っている.


※余談ではあるが,分裂して糸守に落下した彗星は,視聴者をも夢心地から現実に引き戻す役割も持っている.




・組紐の重要性
組紐は瀧と三葉を「結ぶ」以外にも重要な役割を持っているように感じた.
1200年前に糸守に彗星が落下した際に,組紐の伝統に関する文献が全て無くなり「伝統の意味は忘れ去られてしまったものの,宮水一族により伝統の形が残されていた」,瀧が三葉についての記憶をすべてなくしてしまったものの,「名前もわからないけど誰かを探さなきゃいけないということだけはわかっている」構造が似ている.


・ラストの彼は誰時に三葉と瀧が出会って,日没(黄昏時の終わり)と同時に記憶をなくしてしまった理由
3年越しの瀧と三葉を入れ替えを実現していた組紐があるべき場所に戻り,「結び」が"ほどけた"から.


・2人はいつから夢を見ていたのか
三葉は,一族の血筋の能力の発現により3年後の瀧(17歳)と入れ替わる.
しかし,同時間軸の瀧(14歳)は入れ替わってない.そのため,瀧に恋をした三葉が東京まで瀧に会いに行くも,当時の瀧は当然ながら入れ替わりを経験する前の瀧なのでそっけない対応をせざるを得なかった.どうしても瀧を諦めきれない三葉は形見として自分の組紐の髪飾りを瀧に手渡す.
そして,三葉の形見,片割れの組紐を通じて瀧にも宮水一族の入れ替わりの夢を見る能力が結ばれ,入れ替わりを経験した三葉と同じ17歳になってから瀧における入れ替わりが始まったと考えるのが自然.
三葉が夢から醒めるのは,瀧に自分を覚えてもらえていなかった失恋のショックでロングヘアーから髪をばっさりカットするあたり.


では,瀧が夢から醒めるのはどの時点なのか.瀧が御神体の岩場で一葉から「夢を見ているね」と言われるシーンである.
瀧(in三葉)が一葉に夢を見ていると指摘された瞬間から瀧は現実を認識した.
その結果瀧は夢(=入れ替わり)から醒め,三葉に入れ替わる(=夢を見る)こちとができなくなった.ただし,「二度と入れ替わることはなかった」ものの,組紐という繋がりは残っており,完全に夢から醒めたわけではないので三葉や糸守に関する記憶は残っていたので,三葉の描いた糸守の街の風景を元に糸守のスケッチを描いて,高山ラーメンの店で糸守の手がかりを得ることができたのである. ここまでの間,瀧は夢を見ていたわけなのだが,夢を見ている瀧は腕に組紐を付けていないのである.

・なぜ同時間軸ではなく3年越しの入れ替わりとなったのか
こればかりは鶏が先卵が先議論になってしまうが, 三葉が瀧に会いに行ったとき,三葉は電車を降りてから電車の中に残っている瀧に向かって組紐を投げた.電車は時間と同じく過去・現在・未来を示すものであるから電車を降りた三葉は「過去」,対する瀧は「現在」もしくは「未来」の時間軸にいることを示すのではないか.




とりあえず今のところ(1回目視聴)はこれくらい.おしり. 

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